初めてカップラーメンを食べた日

実家でカップラーメンを食べる機会がなかったので、初めてカップラーメンを食べたのは大学に入学してからだった。オリエンテーションキャンプの夜食に用意されたそれ。「あたし初めて食べる」と言うと、奇妙なフォークの持ち方でカップラーメンを啜っていたギャル(岡崎京子が描く女の子に似た美女)が「マジで!?」と言った。後に彼女はあたしのマブとなる。

2回目に食べたのはその1ヶ月後くらい。男友達と飲んだあとにコンビニに行くと彼はカップラーメンを買って備え付けのケトルでお湯を入れ、路上で食べ始めたのでびっくりした。「食べ終わったら汁は側溝に捨てるんだ」と教えてくれた。育ちがいい人間もこういうことをするんだなと思った。あたしは数年後、彼の運転する車の助手席に何度も乗ることになる。母子家庭なので男が運転する助手席に乗るのは初めてだった。

 

カップラーメンに湯を注ぐとこのふたりのことと若かった自分を思い出す。